ムーンライダーズ@C.Cレモンホール

少し時間が経ってしまいましたが、ツアー最終日観てきました。二階席後方だったのであまり期待していなかったものの、いざ始まってみれば全景をしっかりと見渡せる位置で大満足。メンバの表情などを見ることは勿論できなかったけれど、その分音楽にじっくり集中できました。

心配していたドラムは、かしぶちさんとカーネーション矢部浩志さんのツイン編成。激しめのリズム担当は矢部さん。その間かしぶちさんは何をしていたかといえば、シンセパットを叩いたりキーボードを弾いたり。初老間近のドラマーが身体を壊すということの重大さを突きつけられたような気がして少し涙してしまった。けれど歌声はしっかり元気なかしぶちさんでホッと一安心。数曲ヴォーカルをとる曲がありました。ド級の名曲『砂丘』は、女性コーラスのsachiさんとの息もぴったりでロマンティック度・アンニュイ度共に急上昇。いつ聴いても歌詞が沁みます。

印象に残ったのは『11月の晴れた午後には』。緻密で繊細なアンサンブルは見事の一言。軽やかなのに緊張感を含んだ演奏に幾度息を呑み込んだかわかりません。死ぬまで聴いていたい、と本気で思ったほど。そして『ダイナマイトとクールガイ』、『Cool Dynamo,Right on』。対となる2曲を本編ラストに持ってくるなんて心憎い。歌詞と相まった泣きメロにまんまと泣かされそうに。

先のかしぶちさんも含め、岡田セクション、白井セクション、博文セクションがそれぞれ設けられ、それぞれの歌声を堪能できるというありがたーい構成。アッと驚いたのは鈴木博文氏ヴォーカルによる『シナ海』。こんなにいい曲だったとは知りませんでした。穏やかで美しいメロディにタフで分厚い演奏。これを聴くためだけに1万円だって喜んで払えます、本気で。

新アルバムの重々しくストイックな雰囲気を見事再現したステージでした。それ以外の部分(過去の楽曲やフロント3人の派手めなパフォーマンスなど)では、陽気さや軽快さを打ち出し、飽きることなく楽しむことができました。大した本数を観てきたわけではないけれど、今までわたしが観てきたどのライダーズの公演よりも、優れ、面白いものだったと思います。決して立ち止まらず歩き続ける紳士たちに心からの敬意と愛情を。次のフィールド(?)はNHKポップジャムですな。