オペレッタ狸御殿

鈴木清順作品は、過去4本しか観たことがありません。『陽炎座』を除く3本は、退屈過ぎて個人的に面白いとは思えませんでした。中でも金返せ映画だったのが『ピストルオペラ』。観賞後テアトル新宿で怒鳴り散らしたい気分にまでなりましたもの。おそらく清順作品とは相性がよろしくないのだろうな、と割り切り、好きな作家である内田百間の『サラサーテの盤』を描いた『ツィゴイネルワイゼン』すら未観賞という始末。そんな私が『オペレッタ狸御殿』を観賞するに至ったのは、ひとえにムーンライダーズのギタリストへの愛故。白井良明氏は今作で音楽を担当するだけではなく、白塗りメイクを施し俳優として出演まで果たしているのです。やっぱり観なきゃいかんよね。そんな姿勢でいざ臨んだ『オペレッタ狸御殿』ですが、最後まで観るのがきつかった、非常にしんどかった。奇を衒うのは結構です、これこそ彼が貫くスタイルなのでしょう。ただ、これでは到底届きようがない。大衆性を求めるつもりなどありませんが、あまりにも観客置いてきぼりの自慰映画としか私には映りませんでした。極彩色を用いた背景や衣装は確かに美しいけれど、見所はそこだけ。…まあ、あくまでも主観に過ぎない感想、として軽く流して頂ければ。